ドレス .アフター .ドレス

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「ドレス . アフター . ドレスークローゼットから始まる冒険」を読んだ。

著者の中村和枝さんは大学で教えながら、小説、詩、批評、翻訳など幅広い分野で活躍されている。
この方を存じ上げていなかったが、衣服をテーマとしている事で興味を持った。

面白くて共感できるところが満載で、嬉しくなってしまった。
まず、文体。
「ジャンルの横断をあまり気にしないで、できればへへっと笑いながら読んでいたたければ、と願い、やわらかめの日本語をこころがけた。」

ご本人が書かれている通り、語り口は優しく柔らかい。
しかし、話題は縦横無尽に飛び回り、アバンギャルドで深い。

主流、強者ではなく、端っこ、少数派、声の聞こえにくい人々の側から見ると、物事はじつにカラフルで驚嘆するというスタンスは、揺るぎない。

タイトルのドレス.アフター.ドレスは、もとは筆者の「反省ノート」の表題だった。
中身は、最新の獲物ーどこで買った品物か、絵と共に値段も。
反省。度重なる反省。
高級ブランドは無関係にもかかわらず、やっぱりアホやと定期的に反省するに足る程度、洋服を買ってきたという。

あー、わかるなー!

おしゃれが罪悪であるような研究者の家で、なんだかわからない不愉快なストレスだらけの日常。
その割合のかなりの割合は着るものだったと振りかえられている。
オーストラリアに留学したのも、そんな日常からの脱出だったらしい。

自由におしゃれを楽しむことと、多様な価値観がオーストラリアでの生活で身についたのだと思う。

エストニアで出会った、とてつもないおかしなジュエリー。
消費大国で流通しているファッションとは厳然と袂を分かつ。
なんだか爽快、見てみたい。

また、文学の中の衣服を読み解くくだりも、考えさせられる。
この人の仕事に、注目していきたい。

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