その後、立ち飲みに寄り、三軒目に行ったのは「ぽんしゅ家」
女性日本酒ソムリエが開いているお店である。
良いお酒と、他のお客さんも交えた日本酒談義に花が咲いた。
人形町から日本橋方面へと歩いていたら、兜町へと出た。
兜神社というのがあり、中に兜石。
ここら辺は、日本金融の発祥の地とかで、渋沢栄一が開いた銀行跡や、証券会社がズラリ。
映画に出できそうな建物、中を見せて欲しい。
この間、日本橋を歩いてきた。
人形町で友人と合流して、まずはお昼。
ホテルからすぐの中国、アモイの麺のお店。
美味しそうだったので、入ってみる。
青島ビールと牛肉の混ぜ麺を。
食べたことのない歯ごたえの麺に、牛肉。
黒酢と辣油を自分好みで加えるのが、あちら流?
甘酒横丁をブラブラ。
明治40年創業の双葉というお店。
店先の床几で、甘酒ソフトクリームを。
これも珍しい。
お次は、大正からある「快生軒」という喫茶店で一休み。
中は、昔の面影を残しながら、改装されている様子。
人形町って古いお店が残っていて、散歩するのが楽しい。
御影から三宮へと移動し、元町まで歩く。
お昼は、元町駅すぐの「丸玉食堂」へと向かう。
高架下は、耐震工事のため多くの店舗がなくなっており、不安になる。
良かった、やっていたー!
友人は初めて。
私は数十年ぶり。
ここは、50年近い歴史のある台湾料理のお店。
まずはビール。
春巻、八宝菜、名物の汁ビーフン。
やっぱり、安くて美味しい。
紹興酒の大を頼んだら、大きな瓶がボンと置かれてびっくり!思わず、顔を見合わせる。
それに、味がなく薄く、とても飲めたものではない。
メニューをよく見たら、大瓶で1500円。これは、仕方ないか。
大きな扇風機がブンブンと音を立てて回っている。
ここは台湾?と錯覚しそうな店内。
しかし、ご主人は無表情。
腰が折れ曲がって働く奥さんの姿は悲しい。
極みつきは、注文を聞く仏頂面の女の人(娘さん?)
ここまで愛想のない人に、久しぶりに会った。
先日、御影にある香雪美術館で、「篠田桃紅展ーとどめ得ぬもの 墨のいろ 心のかたち」を観てきた。
以前から凛とした生き方に憧れていた方。
今回、やっと念願だった作品に接することができた。
106歳を迎えても、明晰な言動と制作を続けておられることが驚異である。
どうしたら、こんな風に歳を重ねることができるのか。
どんな時も、寄りかからない姿勢を貫いておられることも、その一因かと思う。
古典的な書から、コンテンポラリーな抽象表現。
極限まで削ぎ落とした新しい色と形。
スパッとした、ご自身の生き方を連想させる。
香雪美術館も始めて来たが、落ち着いた空気が心地良かった。
さて、清水寺から二条城へと移動。
「時を超える.美の基準」
二の丸御殿台所、御清所で、現代日本美術の展示が行われた。
絵画、彫刻、最先端技術の映像。
どれもが、歴史的空間に映えて五感に訴えてくる。
キラキラとしたガラスの作品が、ほの暗い空間に輝きを放っていた。
博物館会議に参加した各国の関係者にも、刺激になったのではないかと思う。
せっかく清水寺に来たので、「かさぎや」へ。
早い時間だったからか、誰もいない。
「今日は空いてますね。今は観光も狭間ですか?」
「いえいえ。一年中、少ないことはないです。この辺、2時ごろから、うじゃうじゃわいてきますよ。
日本人は来ません。外国人ばかりです」
「うじゃうじゃ!」
その言葉の内に、観光公害で苦しむ京都の様が凝縮されている。
エアスポットの様に空いた時間が、貴重なものに思われた。
9月というのに残暑が襲い、うんざりの日々。
そんな一日、アートに触れる。
9月1日からIKOM(国際博物館会議)世界大会の京都開催に合わせ、アートイベントが行われた。
まずは、清水寺の成就院へ。
「CONTACTーつなぐ.むすぶ 日本と世界のアート」
川端康成の原稿と東山魁夷の挿絵。
小津安二郎の絵コンテ帳。
棟方志功の群鯉図。
手塚治虫のブッダ。
竹宮恵子の風と木の詩。
ビアズリーの挿絵本。
ロダン。
ジャコメッティ。
マティス。
ルーシー.リー。
茶室入場は整理券制で、少人数ずつ。
森村泰昌の映像作品は、ゴッホと弟になりきり、日本の街を彷徨する。
関西弁のゴッホが面白い。
そして、宮沢賢治の手帖が床の間に。
その他にも内外のアート。
贅沢なラインナップだなー。
私が最も好きだったのは、庭を望む廊下にズラリと並んだ猪熊弦一郎の(光の眼)と題されたガラス作品。
お寺だからこそ、このコラボが映える。
外に出ると、茶室入場の整理券に長い列。
出足の差だと、内なる声。