「阿房列車」再び

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百聞先生の「阿房列車」の第ニ、第三の文庫を見つけた。
相変わらず面白い!

ニンマリすること数知れず。
時には大笑いしてしまう程。
第三には、なんとグレゴリ青山さんの「阿房漫画」のおまけが!
彼女も先生のファンなんですね。

真一文字の口元にステッキ。
「ふん、写真なぞ撮りおって」と言わんばかりの表情の表紙。
実際、お共のヒマラヤ山系氏がカメラを持ち出し、隙あらばと先生を撮ろうとすると、とたん機嫌が悪くなる場面が出でくる。

「汽車が走ったから遠くまで行き著き、又こっちへ走ったから、それに乗っていた私が帰って来ただけの事で、面白い話の種なんかない」

ただ列車に乗るだけのための旅。
それって、究極の贅沢かも。

第三では、途中、病いを得て「なまけるには体力が必要である」という。

観光もあまり乗り気でなく、旅館であれこれ世話を焼かれるのもうっとうしい。
とにかく、ぼーっとしていたい。
これが先生の旅、なまけることの喜びなのであろうか。

第ニの解説で、平田オリザ氏は書く。
「この手の紀行文には珍しく、風流を振りかざさない。
最上のセンスを持っているのに、それをひけらかすこともない。
根拠のない懐古趣味にも陥らない」

そうなんです。
私が好きなところ。

しかし、先生は何もしたくないとしていながらも、実に深く物を見ている。
残酷なまでにえぐり出す表現、美しい描写にハッとさせられる。

そこがたまらない。

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