白州正子の「ほんもの」を読んだ。
彼女と縁のあった人々とのエピソードを書いている。
いつもながら、豪快で爽快。
韋駄天夫人と命名したのは、青山二郎だという。
青山氏は、装丁、美術評論家。
この人みたいな人を、高等遊民というのだろう。
骨董に造詣が深く、白州氏の美意識に与えた影響は大きい。
韋駄天とは、風の如くに疾走するインドの神様。
お釈迦様の骨が外道に盗まれたとき、世界の果てまで追っかけて奪い返したという。
一口で言えば、足が速いこと。
無秩序、無鉄砲、無制限、疾風のごとく。
見たいもの、欲しいものの為ならどこまでも。
名だたる猛者達との日々、そこまで書いていいの?と思う、率直さ。
ひとつひとつのエピソードは、ただ面白おかしいのではない。
美を追い求めずにはおれない人々の哀しみ。
世間の価値観に惑わされず、核心をついているから(ほんもの)が見える。
2017年2月25日土曜日 | chako